| 毛皮製品取り扱いに関する要望
拝啓
2004年から2005年1月にかけて、中国河北省の毛皮動物養殖場の内部が撮影され、その映像と報告書が台湾動物社会研究会およびSwiss
Animal Protection Society(スイス動物保護協会)を通して、全世界に発信されました。私たちはこの映像と報告書により、日本の店頭に並ぶ毛皮製品の生産過程の実態を知ることができましたが、その凄惨な映像に大変衝撃を受けています。
映像と報告によると、それはまさに非倫理的といわざるを得ません。その飼育状況は劣悪で、身を隠す場所もない狭い檻の中に閉じ込められた動物たちのほとんどは、過剰なストレスと恐怖、絶望による異常行動(常同行動(レポートP9参照))を起こしています。屠殺方法に至っては、様々な問題があるとされているガスによる窒息死や感電死ですらなく、地面に叩きつけたり、首を踏みつけたりした後、生きたまま皮を剥がすといった行為が余すところなく映し出されています。皮を完全に剥がされた後、動物が5〜10分生きていたことも確認されています(レポートP6参照)。また、繁殖用に飼育されている母ギツネによる、子殺しや育児放棄が頻繁に起こっています。これは、ストレスによるもので、福祉の低さを示すもうひとつの証拠であると獣医学的にも言われています。
毛皮業界が常に用いてきた、毛皮を擁護する主張のひとつに、「毛皮の品質の良さは動物たちが大切にされている確かな証拠だ」というものがあります。しかし実際には、最初の年の冬毛が生え変わった時期には殺してしまうことや、繁殖技術の向上によって、毛皮の質は、福祉の良し悪しの影響を受けないことが分かっています。ヨーロッパ審議会の「動物の福祉と健康における科学委員会(Scientific
Committee on Animal Welfare and Health of the European
Commission)」は、「毛皮の美しさと密度からは、福祉の充実度を推し量ることはできない」と報告しています。
このような過程を経て生産される毛皮を使用することは、貴社の企業理念、企業倫理にそぐわないものと存じます。また、動物に対する暴力を容認することは、命を大切にしないという社会
風潮につながっていきます。企業の社会的責任が重視されるようになった現代において、貴社の担う役割もまた重要なものです。
私たちは同封しました映像と報告内容を、一人でも多くの日本の消費者に知らせるため、活動をしていくつもりです。これまで、日本の消費者はこのような実態を知る機会がありませんでしたが、消費者がそれを知ったとき、毛皮に対して強い不快感を覚え、消費活動を控える結果につながることは明白です。
流行は繰り返すと言われますが、同時に人間の倫理意識は時代とともに向上していくものでもあります。かつては人身売買が商売として成立していましたし、半世紀前まで女性差別は公然と行われていました。現在では、動物の福祉改善は当然のこととして捉えられるようになりました。日本でも毛皮の非倫理性について20年ほど前から主張されるようになり、代替素材も充実してきた中で、その主張は多くの人の賛同を得るようになっています。
このような背景を踏まえるとき、毛皮の取り扱いをやめることは、動物のためばかりではなく、結果的に貴社の利益にも適うことと存じます。
以上の事柄に基づき、貴社における毛皮製品の取り扱いについて、以下の要望をいたします。
貴社のコレクションから「毛皮」(トリム等含む)を、排除してください。
うわべの華やかさとは裏腹に、その生産過程があまりにも残酷で消費者に見せることができないような素材ではなく、フェイクファーを使ってください。
また、ご多忙中大変恐縮ではありますが、どうぞ別紙の質問事項につきまして、4月15日までにご回答くださいますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
敬具
|